LE装備に合わせるなら パトロールライフル がカッコイイ!誕生のきっかけや定義について
サバゲーでは、LE(Law Enforcement:法執行機関)はミリタリーと並んで非常に人気がある装備カテゴリの1つです!特に、オフィサー系はPOLICEバッジやパッチ、ハンドカフ、テーザーガン、ボディカメラなど、軍モノとは一味違った装備品でプレキャリ/アーマーを盛るのが楽しいですよね。そしてLEオフィサー装備に合わせるエアガンとしては、アサルトライフルであれば パトロールライフル のセットアップがお薦め。
しかし パトロールライフル と一口に言っても情報が少なく、ハンドガンと違ってどんなモデルを選べば良いのか中々難しいのも事実。LE装備に合わせても違和感のないライフル系エアガンにはどんなものがあるのでしょうか。
そこで、この記事では実銃における パトロールライフル 誕生のきっかけや定義について触れつつ、どのようなモデルが使われているのかも解説していきたいと思います。
目次
・パトロールライフルの誕生
・パトロールライフルの定義とは?
・パトロールライフルというカテゴリーの浸透
・パトロールライフルのモデル例
パトロールライフル の誕生
パトロールライフル という概念は、1997年にロサンゼルスで起きたノース・ハリウッド銀行強盗事件(North Hollywood Shootout)がきっかけで生まれました。この事件では、重武装した犯人の制圧に時間が掛かったため銀行強盗事件として異例な発砲数の多さとなり、警官と民間人を合わせて20人に及ぶ負傷者を出しました。
オフィサー ≒ 警官が装備するハンドガンは携行性こそ優れているものの、命中精度や射程距離においては優秀とは言えません。パトカー車載のショットガンもまたしかり。犯人は全身を覆うほどの防弾装備を身に着けていたためそれらの銃器だけでは対処できず、付近の銃砲店でアサルトライフルを用意しようにも時間が掛かります。結局、SWATが到着するまで事態は収拾できず、犯人の無力化まで実に44分という長期戦になってしまったのです。
出典:CNN “The North Hollywood shootout, 20 years later”
▲ロサンゼルス・ポリスミュージアムに展示されているノースハリウッド銀行強盗事件の当時の犯人の装備
銀行強盗史上稀にみる激しい銃撃戦でオフィサーの火力不足が顕著となり、それまでハンドガンとショットガンが主だったパトロール隊員の装備が見直され、彼らにもアサルトライフルの配備が進むことになります。当時、事件が起きたノース・ハリウッドとは別の州の警察署長がSWAT隊の指揮官に意見書を書かせ、オフィサーにもアサルトライフルを装備させるべきという流れを促したそうです。アサルトライフルがあれば、命中精度・貫通力・射程・携行弾数などあらゆる面で凶悪犯より優位に立てる可能性が高くなります。その後の犯罪の凶悪化の可能性を考えれば当然の流れではあるのでしょう。
パトロール隊に配備されるアサルトライフルは、その用途から パトロールライフル という名称で呼ばれるようになります。ただし配備が進んだものの、予算や教育の観点から全オフィサーが装備できるものではなく、 パトロールライフル には定義や使用条件など次の様な規定が設けられました。
パトロールライフル の定義とは?
オフィサーの火力向上という目的で導入が進んだ パトロールライフル ですが、ライフルの選定基準や使用条件、使用が許可されるオフィサーについては警察署ごとに規定が設けられています。ここではその一例を紹介します。
パトロールライフルの定義(例)
使用者の定義
パトロールライフル は警官なら誰でも携行・使用できる訳ではなく、PRO(パトロール・ライフル・オフィサー)として条件を全て満たす警官に限定されています。
パトロールライフルの使用条件
パトロールライフル の使用条件については現場でのオフィサー判断に委ねられる部分が大きいようです。基本的には、アサルトライフルでないと犯人に対し優位性が確保できないと判断される場合にのみ使用可能なようです。
前述の通り、 パトロールライフル の定義や使用者と使用条件の規定は警察署ごとに異なります。意見書を提出したオハマ市警では、最初期に訓練課程を経て任務で使用した パトロールライフル はアイアンサイトのAR-15で、許可されたアタッチメントはフラッシュライトのみ。
火力アップを目的としてはいるものの最初はかなり条件が制限されたうえ、予算も無かったのでオフィサー個人でライフルや訓練課程用の弾薬を購入していたそうです。それでもやはり、 パトロールライフル の導入は警官にとって凶悪犯と対峙できる火力を得るのに大きな存在となりました。
▲2019年のLAPD予備警官のパトロールライフル訓練の様子
出典:Los Angeles Police Reserve Foundation
パトロールライフル というカテゴリーの浸透
ノース・ハリウッド銀行強盗事件から パトロールライフル 導入までの動きは非常に早く、警察署によっては事件が起きた1997年の末には既に訓練と配備が進んでいました。当初は米軍サプライヤーであるコルト製AR-15がメインでしたが、その他の数種のライフルについても所持許可が下りたそうです。
セミオートという制限もありますので基本的には民間仕様のライフルが導入されますが、パトカーからの出し入れを考え16インチバレルと伸縮式ストックを装備した仕様が好まれたとのこと。
その後、年月が経つとAR-15だけではなくFN FS2000、Steyr AUG、SIG 556、HK G36、G36Kのほか、面白いものではM14を参考に作られたRuger Mini-14の採用例(後述)もあります。
また パトロールライフル というカテゴリが登場したことで、各メーカーがオフィサー向けのライフル開発やプロモーションに注力しはじめ、特にAR-15カテゴリでは様々なLEモデルが登場しはじめます。弾薬メーカーについても パトロールライフル 向けに障壁貫通弾や長距離弾、中には対ゾンビ弾(アメリカには、将来的にバイオハザードによるゾンビの発生を危惧する人々が一定数存在し、対策を行っている団体もいます。ゾンビ弾の性能はポリマーを用いたホローポイント弾と同等だそうです。)まで開発するなど、メーカーとしては パトロールライフル は無視できない市場となっているのです。
警察側も豊富なアクセサリーを揃えやすいAR-15は パトロールライフル として導入しやすく、2000年代以降は支給品からオフィサー個人の購入品まで、組織によっては対応の幅も広くなっているようです。当初は警察官が主だった パトロールライフル も、SHERIFF(州保安官局)やU.S.MARSHAL(連邦保安官局)でも導入が進んだほか、9.11同時多発テロをきっかけにUSSS(合衆国シークレットサービス)の警備で採用が本格化されるようになりました。
その他 SWAT などの特殊部隊においても、法的な縛りからセミオートモデルを制式採用しているケースがほとんどなため、各メーカーが推す パトロールライフル モデルをそのまま採用する例も多々あるようです。
そもそも パトロールライフル の規定が警察組織によって異なるなど曖昧なカテゴリではあるので、現在では法執行機関で使用されるオフィサー向けセミオートライフルは広義な意味で LEライフル と呼ぶケースが多くなってきています。
ただし例外的に、フルオート射撃の認定テストをパスしたインストラクターや特殊部隊隊員など、一部ではフルオートモデルの所持が許可・支給されるケースもあるようです。
パトロールライフル のモデル例
ここからは、実際にオフィサーが使用する パトロールライフル の代表例をご紹介していきましょう。
COLT LE6920/CR6920
COLT(コルト)M4A1カービンをセミオート仕様に変更し、バレルを民間用の16.1インチに交換したモデルが COLT LE6920 です。 パトロールライフル の導入初期のモデルで、当時のアサルトウェポン規制法が有効であった時代にLE専用モデルとしてシリアルナンバーの頭にLEと付けられていました。
規制が緩まると民間市場向けにも販売されるようになり、2010年代後半頃からシリアルナンバーをCRに改めた COLT CR6920 へと移行します。シリアル表記は年代を示す指標と言えますが、それ以外にもCOLTロゴの有無や「LE CARBINE」「M4 CARBINE」「CARBINE」というモデル刻印の違いなど製造時期により刻印も異なり、更には復刻モデルもあったりと違いを明確に理解するのは困難を極めます。
最初期の刻印で、軍用M4との関係性を強調した模様。2000年代初頭~中盤のモデルと言われています。ただし、復刻モデル(特注や過渡期のモデルの可能性もあり?)でM4 CARBINE刻印にCRシリアルがある場合もあります。
LEモデル専用表記。民間向けではないためマグウェル右面に「RESTRICTED LAW ENFORCEMENT/GOVERNMENT USE ONLY」と刻印されます。軍用や輸出用を示す「MILITARY」「EXPORT」の表記がある場合もあります。2000年代初頭〜2010年代前半に見られる表記と言われています。
規制緩和後の民間モデル刻印。2010年代中頃のCR6920移行期以後に多い。
LE6920/CR6920は復刻モデルやトレードインで警察から卸された民間仕様も混在するため、刻印のみで正確な年代やモデルを判別することは困難です。エアガンでもニッチなモデルで箱出し製品では中々お目にかかれませんが、オルガエアソフトではMWS用80%レシーバーに「COLT LAW ENFORCEMENT CARBINE」刻印を施したレシーバーをご予約受付中!
この刻印は2004年以前(規制緩和前)のLEモデルとされる非民間向けセミオート刻印となります。
COLT LE CARBINE 完成品 7075MWSレシーバー 東京マルイ MWS用 商品ページはこちら
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Smith & Wesson M&P 15
AR-15クローンとしてスミス&ウェッソンが展開するセミオートライフルで、2006年のショットショーで発表されたM&P(ミリタリー&ポリス)シリーズの1つ。M&PといえばハンドガンのM&P9などでも有名ですね!
基本的には16インチの民間向けスポーツライフルとなりますが、発表年代からしても パトロールライフル 採用を意識したモデルであることは明らか。そのため10インチや14.5インチのモデルも存在し、軍や法執行機関への専用モデル供給も行われています。近年のLE向けパトロールモデルではMAGPULパーツ盛り盛りで4140スチールバレルが搭載されています。
出典:Smith & Wesson M&P 15 Series
M&P15には多数のバリエーションが存在し、組織やシチュエーションを問わず様々なセットアップが見られます。キャリーハンドルを備えた初期モデルがU.S.MARSHALの裁判所警備で使用されていたのが有名でしょうか。
他にもJP Rifle のハンドガードを付けたものや規則性なくハンドガードが交換されたM&P15も散見されます。前者の初期セットアップの警備用についてはUSMS支給品のまま、後者は(MARSHALはSHERIFFオフィサーが兼任する場合が多いため)州保安局の支給品やそれをカスタムした可能性があります。オフィサー個人で用意した可能性も考えられます。いずれにしても興味深い パトロールライフル です。
宣伝ばかりで申し訳ないですが、このM&P15もMWS用80%レシーバーでご用意があります!三角サイト+デルタリングにヒートシールドやRAS、MOEなどのハンドガードを合わせるも良し!フリーフロート系を合わせるも良し!比較的バリエーションの自由度が高いレシーバーと言えるでしょう。
S&W M&P15 完成品 7075MWSレシーバー 東京マルイ MWS用 商品ページはこちら
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Bushmaster M4 Patrolman’s
COLT M4A1を起源とするだけあり パトロールライフル には往年のスタイルを維持したデザインのモデルがとても多いような気がします。 Bushmaster M4 Patrolman’s もそんなモデルの1つです。
モデル名から分かる通りオフィサーのパトロールライフル向けに作られ、固定の三角フロントサイトやグリップなどのA2系パーツでまとめたオーソドックスなM4スタイルとなります。2025年現在、ブッシュマスター製のAR15はロアレシーバーを XM15-E2S で統一しており、民間仕様と共通のセミオート仕様が一般的ですが、セレクターの刻印を見る限り法執行機関向けの特注でセレクティブファイアモデルもあるようです。ちなみに民間仕様についてはカリフォルニア州など規制の厳しい地域向けに XM15-CA ロアもありますが、LEカタログは全て XM15-E2S となっています。
そろそろお気づきかと思いますが、この記事は半分「MWS用80%レシーバー」の宣伝が目的です(笑) ブッシュマスターは流石に人気が無いかなと思い完成品での販売予定はありませんが、刻印サービスで XM15-E2S をお選び頂くことは可能です。 XM15-CA 刻印は追加費用でお受けします。
Rock River Arms LAR-15
コルトやブッシュマスターと同じく、往年のM4スタイルを貫いているのが Rock River Arms (RRA)です。グリップは特注で自社ロゴを入れたラバー製の HOGUE を採用しています。
Rock River Arms は元々、Springfield Armory(合衆国兵器廠ではなく民間銃器メーカーの方)で主任を務めたガンスミスが立ち上げたメーカーなだけあり、性能の高さは折り紙付き。
パトロールライフルへの参入は2003年にDEA(麻薬取締局)が次期制式ライフル選定のために行った耐久テストがきっかけで、アーマライトやブッシュマスターなど名だたる強豪を押さえDEAとの契約を勝ち取りました。耐久テストはライフル本来の精度や連続発射耐久度以外にも、落下テスト、高温低温下の作動テスト、非メンテナンステスト、泥・砂・水に浸すなどの虐待テストが実施され、RRAの信頼性の高さが証明されました。
この時採用されたモデルは基本的にDEA納入専用品ですが、RRAを象徴するモデル Pro-Series として限定販売されることがあるようです。(流石にDEAの文字はない模様)
DEA の耐久テストの結果を受け FBI でも採用されたRRAは、現在でも高品質な銃器メーカーとしての認知度が高く、現在展開する LAR-15M Tactical CAR A4 やエリートモデルも多くの法執行機関に納入されているそうです。
くどい様ですがMWS用80%レシーバーに刻印できます(笑) DEA刻印については別途ご相談ください。
Ruger Mini-14
ルガー Mini-14 は1973年に発表され現在でも販売を続けている歴史の長いライフルです。ここにきていきなり、AR-15以外の変わり種のご紹介です。宣伝も関係ありません(笑) Mini-14 の形状はM14にそっくりでネーミングもM14をもじっていますが 5.56×45mm弾(レミントン.223)仕様となっており、主に農場で使うバーミントライフル(害獣駆除)やハンティングが目的のライフルでした。
しかし、その外観が「威圧的でない」(下の画像は現行のプラフレームですが、ベースモデルはウッドフレームがメイン)との理由で、パトロールライフルという概念が生まれる前から法執行機関での採用例がありました。また安価であることも、予算の限られている警察組織では重宝される存在の様です。
現在では、アクセサリーの拡張性や汎用性に優れるAR-15プラットフォームの価格が下がってきたこともあり、その座を失いつつありますが、法執行機関向けに派生したタクティカルモデルなどもあり未だに警察や保安官局で使用されるケースが散見されます。元から警察などで使用されてきたライフルではありますが、AR-15を中心とした パトロールライフル の誕生後も定義を拡大して使用され続ける数少ないライフルと言えます。
装備とセットで光る パトロールライフル の魅力
パトロールライフル の起源と採用例の多いいくつかのモデルをご紹介してきましたが、ここに挙げたモデルはほんの一例に過ぎません。LE装備にはどんなライフルを合わせれば良いか…という指標になればと記事制作をはじめましたが、色々と調べたり書いた結果思うのは「割と何でもアリ」ということです。
少々強引な解釈ではありますが、奇をてらってマニアックなメーカーを選んだとしても、使われていないという確証が無いのが実情です。
特定の組織(FBIやDEA、特殊部隊など)や年代、警察署・保安局の地域を絞るのであれば話は別ですが、それでも実銃メーカーのホームページなどを見ると分かる通り、法執行機関やオフィサー個人でのライフル購入に対し特別な窓口を用意するなど例外的なモデルを使用する例は数えきれないほどあります。
USマーシャル(連邦保安官補)などは最たるものでしょう(州保安官補:SHERIFFを兼ねるオフィサーが多いほか、SOG隊員の平常時出動やFugitive Task Forceなど自由度が高い部署も多く、様々な事務所の持ち合わせや個人で用意したりカスタムしたパトロールライフルを使用する場合も多いため)。
▲もはやベースガンが分からないほどカスタムされたUSマーシャル隊員のパトロールライフル
軍装ミリタリー路線に比べ縛りが少なく、ライフルや装備、服装のアレンジ幅が広いLEはプレイヤー個人やチームのセンスを活かしやすいカテゴリーと言えます。
シンプルに「その銃やメーカーが好きだから」という理由でモデルや刻印を選ぶのが順当ではありますが、どうせなら装備も合わせると、とても様になります。その点LE装備、特にオフィサー系は自由度が高くアレンジが効き、色んなパターンで楽しめるかと思います。
最後に、またまた宣伝にはなりますが、幸いMWSには無垢レシーバーという心強い選択肢がありますので、ガスブロAR-15であればお好みのシビリアンモデルを作れちゃいます!
架空の銃や装備は避けたいけど、ある程度の自由は利かせたい。そんなプレーヤーさんには「パトロールライフル」というカテゴリー、非常にオススメです。